「Full Circle」が照らす場所

2021年元旦、V6の新曲「Full Circle」がYouTubeで公開された。

昨年の配信コンサートで初めて披露されて以来、音源化の情報やメディアでの露出はなく、ファンの間で神話的に語られていた楽曲がついに解禁となった。

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「一周して元に戻る」「無欠の円」を意味するそのタイトル通り、デビュー25周年を迎えた彼らに相応しいメッセージ性の強い一曲。 

R&Bサウンドにボイスパーカッションを取り入れ、アコースティックな風合いを織り交ぜたトラックは、ブルージーで良質なダンスナンバーに仕上がっている。

ネオ・ソウルと形容すると、あまりの幅広さに賛否があるかもしれないが、主題の一つである“多様性の肯定”を楽曲ジャンルでも表現していると考えればこれ以上にしっくりくるものはない。

歌詞は先日「THE FIRST TAKE」への出演でも話題を呼んだDef TechのMicroが手がけ、ストレートだが決して紋切り型ではない、体温のある言葉でその意味を訴えかける。

彼らのストーリーが散りばめられた“今のV6”のための歌でもありながら、こんな世界情勢だからこそ聴きたい普遍的でピースフルな価値観を孕んだ名曲となっている。

“センチュリー”や“ジェネレーション”というワードに縁の多い彼らは、まさにその時代に必要とされている作品を発表し続けてきた。

また、いわゆるアイドルソングに留まらず、自分たちの傷口や苦悩と向き合いながら前進する、いい意味で人間臭い楽曲も数多い。

平安時代の僧が遺した「一隅(いちぐう)を照らす、これ即ち国宝なり」という言葉がある。 

暗い片隅にも光をもたらすことのできる者の貴さを謳った金言だ。

もしかしたら、世間から見た彼らは、いかにもジャニーズアイドルといった派手さは少ないのかもしれない。

しかし、繊細で謙虚な6人だからこそ、他のグループとはまた違った、人の孤独や痛みに共感し、それを照らす力があるのではないだろうか。

アイドルは軽視されやすいが、誰かの人生に深く関わることのできる仕事だと森田剛は語った。*1

メンバーやファンと心の奥底でつながることができる彼らにしか、灯せない明かりがきっとある。

25年間の軌跡を振り返り、次なるステージへの出発点に戻ってきたV6は、きっと今年も様々な場所でたくさんの人に優しい光を与えてくれることだろう。

*1:扶桑社「ESSE 2020年11月号」インタビューより

「トニフィフコン」という円環

本記事は2020年11月13日にnoteで公開した内容を移行したものです。

2020年11月1日。V6がデビュー25年周年を迎えたその日、配信コンサートV6 For the 25th anniversaryが行われた。

配信元となった会場は国立代々木競技場第一体育館。1995年の同日に彼らがデビューイベントを行ったいわば聖地である。
配信後にメンバーの三宅健から「トニフィフコン」通称名を与えられた本公演は、メディアやネットで多くの話題と反響を呼んだ。

今回は、そのセットリストに焦点を当て、彼らの一ファンとしてレポートしたい。

※ 本記事にはセットリスト、演出、新曲などの記述が含まれます。

「V6 For the 25th anniversary」セットリスト

1. Right Now
2. KEEP GOING
3. Supernova
4. SILENT GALAXY
5. Wait for You
6. サンダーバード - your voice - 
7. 星が降る夜でも
8. ある日願いが叶ったんだ
9. Swing! 
10. SPOT LIGHT
- MC
11. All For You
12. PINEAPPLE
13. TL (Instrumental)
14. GOLD
15. Can't Get Enough
16. Air 
17. It's my life
18. SPARK
19. Super Powers
20. WALK
21. 羽根~BEGINNING

「トニフィフコン」を構築する6つのセクション

私の主観では、今回のセットリストは大きく以下の6パートに分けられるのではないかと思う。

①「KEEP GOING」 〜 「Supernova」

最初のパートは、あえて2曲目の「KEEP GOING」から書き始めたい。
V6のライブ名物・変態照明と共にゴンドラで登場する佇まいには勤続25年の風格を感じるが、蓋を開けてみれば年齢を感じさせないほどにハリのある歌唱とダンス。
人気曲「Supernova」では、配信という新しい形のコンサートに対する喜憂を吹き飛ばすような情熱的な表現が繰り出され、ファンが大好きな“キレキレでかっこいい”6人に会うことができる。

②「SILENTGALAXY」 〜 「ある日願いが叶ったんだ」

続いて、フライング演出を合成した「SILENT GALAXY」からは、V6らしい“インターギャラクティック”なモチーフを扱った名曲を立て続けに披露した。
スチームパンクの様相も感じさせるMVの「Wait for You」、サイバーながらどこかレトロフューチャーみもある「サンダーバード - your voice -」と、SFファンにとってもたまらない選曲を先進的な演出と共に届ける。

ここまで視聴すると超新星の名を冠した3曲目の「Supernova」もこのセンテンスへ向かうレイヤードとなっていたことに気がつく。

そして、あたたかな愛を星空に歌う「星が降る夜でも」と「ある日願いが叶ったんだ」もまた、次の2曲へのグラデーションの役割を担っているようだった。

③「Swing!」 〜 MC 

コンサートの定番曲「Swing!」と「SPOT LIGHT」では、会場全体を縦横無尽に駆け巡り、彼らがデビュー当初から大切にしてきた“楽しむ”ことにフォーカス。
長年のバラエティで培ってきた6人の“わちゃわちゃ感”が、スタッフへのリスペクトとファンサービスたっぷりに姿を現す。

その後のMCはリラックスした着座スタイルで行われ、V6の伝統芸・ボンタン狩りや、長野博のアクリルスタンドで出汁を取る井ノ原快彦という新たな伝説が飛び出し、トークでもファンの心を鷲掴みにした。

④「All for you」 〜 「PINEAPPLE」

直前まで手が付けられないほどにふざけ倒していた6人だったが、やはりプロの切り替えは凄かった。
昨年リリースされた「All for you」と今年発売されたばかりの「PINEAPPLE」で見せる絶妙な表現は、この楽曲が“成熟した大人の魅力”を持つ今の彼らのために用意されたことを物語る。

艶やかさを放ちながらも、セットはナチュラルなテイストであったり、作品の本質を紐解くパフォーマンスだったりと、今年で全員が40代となるアイドルグループならではの余裕も見せつけた。



⑤「TL(Instrumental)」 〜 「Super Powers」

「PINEAPPLE」のセットに残りソロダンスを披露したリーダー・坂本昌行が、事前収録された「TL (Instrumental) 」への無音の転調を担い、視聴者を“怒涛の演出の世界”へと誘う。

私がこの配信ライブで最も心に残っているのは、漆黒の「TL (Instrumental) 」から、純白を纏い互いを侵食する極彩の「GOLD」への変容だ。
私にとってこの2曲は聴くほどに業の深さを感じる楽曲であり、対照的な演出や曲順にすら因果を感じずにはいられない。

その後の「Can't Get Enough 」では鏡を、「Air」では紗幕を使い、「It's my life」では柔らかなプリズムを背負って歌う。
運命論的な側面を持つ楽曲を披露された後だからこそ、6人の姿がなおさら愛おしく特別に感じられる。


鮮やかなダンスナンバーの「SPARK」とレーザー照明を贅沢に駆使した「Super Powers」は独立したパートとして語ることもできたが、前述の5曲の後だからこそ、普段以上にそのメッセージを強く受け取ることができたように思う。
それに何より、彼らにはやはり6という数字がよく似合う。

⑥「WALK」〜「Right now」

一人ずつ歩みを進めながら歌い出した「WALK」では、個である6人が織りなす集合美と、優しくも確かなメロディラインに胸を打たれる。

メンバーの思い入れも強い「羽根〜BEGINNING〜」には2003年のコンサートと同様の演出が取り入れられ、彼らと同じ時代を生きられる喜びや感動と共に終演を迎えるが、その最後を飾ったのが「Right now (Instrumental)」の逆再生だった。

ここで1曲目に披露された「Right now」に帰結することで、このコンサート自体が一つの“大きな円環”であり、セットリストが複数の軸で構成されていたことを理解した。

円環を螺旋に変えて

先述の通り、もしもこのコンサート自体に姿形があるのなら、私にとってそれは円環だ。

しかし、この後に配信されたFC限定ライブで見せた「明日の傘」とMC、そして新作2曲は本編をさらに大きな輪で包括するような、これからも絶えることのない広がりを感じられるアンコールだった。

それは円環というよりもむしろ、終わりのない螺旋のような形かもしれない。

一次元から、二次元へ。二次元から、三次元へ。
私にとってV6とは、作品を通して高次元な表現を見せてくれる最愛のアイドルだ。
いつかまた彼らに会える日まで、私もその螺旋階段を一つずつ歩んでいきたいと、強く思う。


V6のみんな、25周年おめでとう。そして、いつもありがとう。

「PINEAPPLE」と聞いてどんな曲を想像するだろうか

本記事は2020年9月23日にnoteで公開した内容を移行したものです。

音楽好きにとって、ジャニーズアイドルとはどんな存在だろう。

男性アイドル市場を長く独占してきたことから実績や知名度は充分すぎるほどだが、それゆえに音楽ファンの間に限って言えば賛否は分かれるかもしれない。
かくいう私もこれまで邦楽であればジャンルを問わず聞いてきたが、男性アイドルに明るいわけではなかった。
批判されることを覚悟で言えば、心のどこかで「パフォーマンスや作品の完成度よりもビジュアルやバラエティに特化した存在」だと舐めていたかもしれない。

しかし、そのアイドル観を鮮やかに塗り替えてくれたのが今年25周年を迎えるV6だった。

そして今、私が音楽好きにこそ薦めたい一曲が、彼らの9月23日発売の新作「It's my life / PINEAPPLE」に収録されている「PINEAPPLE」だ。

南国フルーツをモチーフとしたアイドルソングといえば、近年ではSKE48の「意外なマンゴー」やももいろクローバーの「ココ☆ナツ」など明るく夏を盛り上げるようなアッパーチューンが連想されやすい。
今作もそういったハイテンションな仕上がりだろうと、フジテレビ系 「HEY! HEY! NEO」内で楽曲が初披露されるまで私はそう思っていた。

ところが、実際に彼らがその日パフォーマンスしたのはシリアスでメロウな大人のチルトラップだった。

クラブミュージックの中でも比較的ダーティーでスリリングなジャンルのトラップに、リラクシングでエモーショナルな要素を融合させたチルトラップは、つい昨年ごろ国内外でも知名度が上がってきたばかりの新しいサウンドだ。
トラップ特有のタイトなビルドアップ、太いベースと高速のハイハットがドラマチックな今作も、強い日差しよりどこか物憂げな陰影がよく似合う。
P3AK、Andy Loveらに提供されたこのアイドルソングとは思えないトラックは、ハウスやテクノの界隈で長く生きてきた私を瞬く間に虜にした。

振り返れば、V6はこれまでもジャニーズアイドルの印象を覆すようなジャンルを歌ってきた。
前作のAmPmやChocoholicらが作曲したトロピカルハウス「All For You」と、清水翔太の作詞作曲によるダブステップの前々作「Right Now」は、私がファンになったきっかけの2曲でもある。
EDM調のアイドルソングは今でこそ珍しくないが、こういったベースミュージックをジャニーズアイドルが歌うというのは目新しく、そこに攻めの姿勢を感じずにはいられない。
細分化すれば3〜5年で移り変わる音楽市場の流行を汲んで、作品に反映させながら長い活動ができるアーティストは希少だ。

また、昨年V6の年長3人組ユニット”20th Century”ともタッグを組んだ土岐麻子による歌詞にも注目したい。
離れて暮らすパートナーの笑顔を曲名でもあるパイナップルにリンクさせながら、遠距離恋愛中の祈るような心情を丁寧に描いている。
先端的な曲調にも負けない耳にしっかりと刻み込まれる言葉選び、一音一音に舌触りのいい文字を当て込むワードセンスは、さすが作詞家としての活躍も目覚ましいシンガーだ。

そして、その情景をさらに甘く切なく香り立たせるのが、世界中で評価されるダンサーYOSHIEによる椅子を使った振付だ。
チェアダンスを織り交ぜた伸びやかで曲線的な振りは、前述した歌詞ともマッチした艶やかさを感じさせる。
扇情的なダンスとアイドルという組み合わせは、時に過剰なセックスアピールを覚えることもあるが、それを押し付けず作品の本質に徹しているところはさすが長年パフォーマンスをし続けてきた彼らとしか言いようがない。
しゃかりきに踊っていた時代を通り過ぎ、キレと引き算のバランスを物にした今の彼らは、高い湿度を伴う楽曲ほど絶妙な表現を見せてくれる。

いくら豪華な制作者で布陣を固めても、それを生かすことができなければ所詮アイドルと一蹴されてしまう。
もちろん、アイドルとはそれぞれに多面的な見どころがあり、実直なパフォーマンスだけが全てではない。
しかし、個人の歌唱力、ダンス技術、表現力の高さは元より、6人全員の声質や踊りの相性の良さは観る人を引き込む強さがある。
これまで音楽シーンや各々の芸能活動で培ってきた経験と、作品に対して職人気質とも形容されるこだわりを持っている彼らならではの特長だ。
デビュー25周年を迎える彼らのキャッチコピーが「勤続25年の男たち」であることからも、アイドルという仕事に対する誠実さが窺える。

その作品への真剣な姿勢は、カップリング曲にも映し出されている。
ダブルAサイドシングルとしての6作連続リリースを開始した2017年以降の楽曲レベルは特に高く、これまで真部脩一やDENIMSといった確かな定評と高い感度を持つアーティストが数多く参加している。 
彼らのカップリング曲はシングルカットされないことが勿体ないほどに、いわゆる捨て曲がない。

今作でも、昨年結成30周年を迎えたフラワーカンパニーズの鈴木圭介による「夢のつづき」と、若手実力派バンドとして人気を伸ばすPenthouseが制作した「ただこのまま」が収録され話題を呼んでいる。
この提供者二組の対比は、25周年という節目に立ち、30周年へ向けて新たなスタートを切る彼らなりのメッセージのようにも受け取れる。

一方、表題曲として「PINEAPPLE」と対をなす「It’s my life」はメンバーの井ノ原快彦が主演を務めたテレビ朝日系ドラマ「特捜9 season3」の主題歌で、世間のイメージに近い秋晴れのような爽やかなナンバーだ。

Radical Hardcore Cliqueが作曲したこちらも、トラップの要素や計算された展開が織り込まれ、宮田 ‘レフティ’ リョウによるメッセージ性の強い歌詞で応えているが、あくまで肩の力を抜いたカジュアルな仕上がりになっているのがなんとも愛おしい。
昨今の音楽市場ではむしろカップリングになりそうな穏やかな魅力を持つ楽曲を、あえて表題にすることでパブリックイメージを損ねないラインナップ。
それは、彼らがジャニーズアイドルであることに誇りを持っている何よりの証拠だろう。
メディアでの楽曲披露もこちらの「It’s my life」がフィーチャーされることが多く、表向きにはキャッチーな間口の広さを見せながら、一歩踏み込んでみると実はテクニカルな内容を事もなげにやってのけるというギャップに心を掴まれる。

ここ数年のV6の楽曲は、コンペにせよ指名にせよ、提供者と担当者たちのセンスに目を見張るものがある。
それは、良質な楽曲と振付を大切に扱うことのできる彼らだからこそ与えられるものなのかもしれない。

最近では音楽性の高さに重きを置いた”楽曲派”というアイドルジャンルも存在するが、ジャニーズグループもまたそれぞれの作品の過渡期に来ているのではないかと思う。
そして、それを牽引するのがグループ平均年齢40歳を超えても新たな挑戦をし続けるV6だと私は確信している。

私は前衛的な作品を豊かな経験と実力で魅せるアイドルが好きだ。
そんな私が今のV6に惹かれたのは必然で、その背景には多くの苦労や衝突も乗り越えてきた彼ら自身と、それを支えてきたファンやスタッフの姿が在る。

こうした信頼関係の中で磨かれてきた彼らの作品や技術は、かつての私のようにアイドルに興味の薄い、けれども心から音楽を愛する人々にもきっと届くことだろう。
勤続25年を迎えた男たちが、今後も多くの音楽リスナーのアイドル観を覆してくれることが楽しみで仕方ない。

ジャニーズに興味のなかった私がV6のファンクラブに入るまで

本記事は2020年4月29日にnoteで公開した内容を移行したものです。

好きな音楽ジャンルはヒップホップとエレクトロ、好きな男性のタイプは刺青が入っているロン毛の喫煙者。
そんな男性アイドルとは無縁だった私が三宅健くんにハマり、V6のファンクラブに入るまでのお話です。

V6とは

ご存知の方も多いと思いますが、V6は今年でデビュー25周年を迎える6人組のジャニーズアイドルグループです。

V6(ブイシックス)は、日本の男性アイドルグループである。所属事務所はジャニーズ事務所。所属レコードレーベルはavex trax
坂本・長野・井ノ原で構成される20th Century(通称トニセン)と、森田・三宅・岡田で構成されるComing Century(通称カミセン)に分かれて活動することもある。

Wikipediaより引用)

1991年生まれの私と同世代の方は、テレビ番組「学校へ行こう!」や「WAになっておどろう」のカバーの印象が強いことかと思います。

私自身も小学生時代には三宅くんの顔がタイプで「伊東家の食卓」をよく見ていたのですが、彼らのパフォーマンスをじっくりと味わう機会がないまま音楽は好きだけどジャニーズはあまり聴かないという大人になりました。

V6にハマるきっかけになった3曲

そんな私が俗にいうにハマるきっかけとなったのがavexの公式YouTubeチャンネルで4月中旬から順次公開されているミュージックビデオでした。
ネットニュースで話題になっていた公開動画の中から、サムネイルに惹かれたこの曲を興味本位で視聴したことで、私はジャニーズアイドルのイメージを大きく覆されることになります。

①「All For You」

全編英語詞のトロピカルハウスにLo-Fiな質感が絡む上質なダンスチューン。
“楽曲が自分の好みかどうか”という音楽好きにとっての最重要事項を軽々と超えてくるクオリティの高さに「えっ、今のV6の曲ってこんなにいいの…?」と度肝を抜かれました。

それもそのはず、本作の作曲には2017年にダンスミュージック界を震撼させ、現在も世界中から熱いラブコールを受けるAmPmが参加しているのです。
AmPmは当時、私も「I don’t wanna talk」に衝撃を受けてヘビーローテーションしていましたが、まさか男性アイドルの楽曲でその名前を目にすることになるとは思いませんでした。

他にもV6の楽曲提供者には、m-floの☆Taku TakahashiやケツメイシのRYOJI、秦基博大橋トリオ、レキシ、DENIMSといった音楽業界で注目を集めるアーティストが名を連ねています。

思えばV6は、デビュー当時からデイブ・ロジャースによるユーロビートに挑戦したり、10年以上前から全編にオートチューンをかけた楽曲があったりと、時代の流れとともに音楽性もアップデートしてきたグループであり、音楽が好きな人にほどハマるポテンシャルを秘めているのかもしれません。

そして、楽曲の引力に劣ることのない技量を見せつけられたのがこちら。

②「Right Now」

清水翔太が作詞作曲を務めるダブステップ調の本作では、平均年齢40歳以上のグループでありながら、高難度の振り付けを全員が踊りこなせる技術力に驚かされました。
ストリートダンスやコンテンポラリーダンスの要素を感じる前述の2曲の他にも、電気グルーヴ石野卓球が楽曲提供した「刹那的Night」ではヴォーギングさながらの決めポーズを連発する芸術性の高い振りを取り入れています。

また、ダンスパートで着用しているヨウジヤマモトコム・デ・ギャルソンを彷彿とさせるモードな衣装をはじめ、ファッショナブルで完成度の高い映像も見所の一つです。 

そして、最後にV6というグループの奥深さを知ることになったのがこの一曲。

③「Crazy Rays」

力説してきた楽曲の良さだけではなく、歌唱力の高さも伝わるでしょうか。
しかも、ただ単に歌が上手いだけではなく、全員がユニゾンをしてもチープにならない個々の声質がグループにおいて大きな役割を担っています。

また、前述した高いダンススキルに加えてそれぞれの踊りに個性や癖があり、決してシンクロ率が高いわけではないのに、メンバーが並んだ時に生まれるグルーヴが高揚感を与えてくれる点もアイドルとしての強みだと感じました。

彼らのハードなパフォーマンスや身体能力の高さは有名ですが、やはり突き詰めればV6の魅力は歌と踊り、メンバーの相性の良さに集約されるのではないでしょうか。
より良い作品を与えられ、それに応えられるポテンシャルがあるからこそ、彼らは多様なファンを虜にすることができるのだと思います。
今後も時代を牽引するアーティストやクリエイターとタッグを組み、グループとしてのブランド力を高めていってくれることを望んでいます。

三宅健というカリスマ

ここでいわゆる“自担”である三宅健くんについても少しだけお話をさせてください。

“奇跡の40歳”と評されるビジュアル、しなやかでキレのあるダンス、艶っぽさと少年らしさを併せ持つ華やかな歌声。
紹介したミュージックビデオの中で、気がつけば私は彼をずっと目で追いかけていました。

そして、2017年に開催されたコンサートツアー「TheOnes」で、誰よりもライブを楽しみ、ファンへの惜しみない愛を感じさせてくれる姿に心を動かされずにはいられませんでした。

残念ながらこちらは期間限定公開ですので気になった方はお早めにご視聴を。

V6はメンバーそれぞれに語りつくせないほどの魅力がありますが、楽しいことばかりではない業界で、仲間とファンを想いながら血の滲む努力を続けてきた“悲しいほどにアイドル”三宅健というカリスマに、私は強く惹かれ、たくさんの幸せをもらっています。

おわりに

デビューから25周年を迎え年々魅力が増していくV6を、私が今このタイミングで好きになったことは必然だったように思います。

たくさんの幸せを与えてくれる彼らに少しでも恩返しをしたい気持ちと、次のコンサートで前述した3曲を観たいという想いで、ジャニーズに興味のなかった私はファンクラブに入会することとなったのでした。

勉強不足の新規ファンではありますが、これからも6人が楽しそうに歌い踊る姿をずっと見せてほしい、彼らが誰よりも幸せであり続けてほしいと願っています。

 

推しがいる、ということ - V6と私の2020年

2020年4月、私に推しができた。

彼らは今年で勤続25周年を迎えたジャニーズアイドルグループ、V6だ。

好きなアーティストが楽曲提供をしていたことで興味を持ち、
コンサート映像を見終わる頃にはすっかり彼らの虜になっていた。

感じたのは個々のポテンシャルの高さとグループとしての相性の良さ、
そして、どこまでも真面目に作品と向き合いながら表現を追求する姿勢。 

すべてが私の好みだった。

彼らなら、この先、何があっても作品を裏切ることはしないと確信した。
彼らなら、この先、何があっても絶対に好きでいられると自信を持てた。

大人になると盲信的に何かを愛するということが難しくなっていく。
しかし、心から音楽を楽しみ、時には涙を浮かべながら歌い踊る姿に
惹かれずにはいられなかった。 この人たちなら信頼できると感じた。

そう思えたのは、
これまで6人が喜びや苦しみを分かち合いながら歩んできた年月と、
それを支えてきた歴代のファンやスタッフたちのおかげでもある。

そんな愛おしい関係性も含めて、私は彼らのことが大好きになった。

来年で30歳を迎える私が、全く興味のなかった男性アイドルを
応援することになるとは周囲の誰も想像していなかっただろう。
何より本人が一番驚いているのだから。

しかしその一方で、
私がV6に夢中になることはずっと前から決まっていたのではないか、とも思う。

突然だが、あなたは人生で初めて好きになった芸能人を覚えているだろうか。

私は最近になるまですっかり忘れていた。

私が初めて好きになった芸能人こそ、V6の三宅健くんだった。
小学校に上がってテレビを見るようになってから、私にとって
毎週「伊東家の食卓」と「学校へ行こう!」を観られる火曜日は一番の楽しみだった。

そうだ、そうだった。
私はこれまで男性アイドルに関心がないわけではなかった。

V6の健くんが大好きだったのに、クラスメイトは剛くん派だったので隠していた。
KinKi Kidsの光一くんが気になっても、周りが剛くん推しばかりで知らん顔をした。
TOKIOの松岡くんにハマっていた時期も、友人は長瀬くんのファンばかりで離れた。
タッキー&翼のタッキーにも惹かれたのに、翼くん担の子たちの輪に入れなかった。

そうやって周囲の顔色を伺いながら学童期を過ごしてきた私は、
いつしか男性アイドルに興味はないと自分に暗示をかけてしまった。

そして20年以上の月日が流れ、ようやくその呪縛から解放されたのだ。

自分の素直な気持ちを認めらてあげられるようになったこと、
好きなものを好きだと自信を持って言えるようになったこと、
歳と共に変化することの楽しさを知ることができたのも、彼らのおかげだ。

最近になって、もう一つ思い出したことがある。
それは、知人がいわゆるジャニオタだと明かしてくれた時のこと。
時には勇気を持って「〇〇が好きなんだ」と話してくれた告白に、
思えば私はいつも同じ返答をしていた。

「そうなんだ!ジャニーズかっこいいよね!私もV6好きだもん!」と。 

そう、ずっと好きだったんだ。

火曜日が楽しみだった頃から、お互いの個性を尊重しつつ補い合う仲の良さも、
各々が活躍の場を広げながら、確かな実力を持つグループへ成長していく姿も、
ずっと特別に感じていた。

こんなにも無意識に好感は刻まれていたのに、
どうしてもっと早く彼らを掘り下げなかったのかと後悔する日もある。

せめてあと5年、いや、3年でもいい。 彼らと一緒に過ごせていたら。

Twitterで“V6の愛”というトレンドワードを見て特別番組の放送を知った時、
KEN☆Tackeyが結成されてとんでもないユニットが生まれたと高揚した時、
音楽番組で「刹那的Night」のパフォーマンスに触れて前衛性に感心した時、
あの時にどうして。

それでも、きっと私には今だったんだと思う理由がある。

個人的な話になるが、私は今年の3月に実父を亡くし、
交際していた相手と別れ、会社都合での退職が決まった。

多くのものがあっという間に手のひらからこぼれ落ちていった。

それを埋められる代わりはどこにもないけれど、
それに匹敵するほど大きな存在と巡り合うための
旅支度だったのだと思ってみてもいいだろうか。

すべてのことには意味があると、信じたい。

もしかしたら、他人の目には2020年の私は不幸に映るのかもしれない。
けれど、私自身は今までの人生の中で、今年が一番幸せだったと思える。

それは紛れもなく、推しの存在があったからだ。

彼らを好きになって一日一日が特別になった。
生きること、歳を重ねることに希望を感じた。 
手の届かない人を想う気持ちが、こんなにも自分を強くしてくれることを知った。

推しがいる、ということは、幸せなことだ。

だから今日も私は彼らの幸せを願っている。

2020年、あなたたちに出会えて本当によかった。
25周年を一緒にお祝いさせてくれたこと、これまでアイドルでいてくれたこと、
6人でいてくれたこと、心から感謝しています。 たくさんの幸せをありがとう。

同じ時代を生きられる一分一秒が大切な宝物だから、
2021年も、その先も、ずっとずっと、大好きです。