推しがいる、ということ - V6と私の2020年

2020年4月、私に推しができた。

彼らは今年で勤続25周年を迎えたジャニーズアイドルグループ、V6だ。

好きなアーティストが楽曲提供をしていたことで興味を持ち、
コンサート映像を見終わる頃にはすっかり彼らの虜になっていた。

感じたのは個々のポテンシャルの高さとグループとしての相性の良さ、
そして、どこまでも真面目に作品と向き合いながら表現を追求する姿勢。 

すべてが私の好みだった。

彼らなら、この先、何があっても作品を裏切ることはしないと確信した。
彼らなら、この先、何があっても絶対に好きでいられると自信を持てた。

大人になると盲信的に何かを愛するということが難しくなっていく。
しかし、心から音楽を楽しみ、時には涙を浮かべながら歌い踊る姿に
惹かれずにはいられなかった。 この人たちなら信頼できると感じた。

そう思えたのは、
これまで6人が喜びや苦しみを分かち合いながら歩んできた年月と、
それを支えてきた歴代のファンやスタッフたちのおかげでもある。

そんな愛おしい関係性も含めて、私は彼らのことが大好きになった。

来年で30歳を迎える私が、全く興味のなかった男性アイドルを
応援することになるとは周囲の誰も想像していなかっただろう。
何より本人が一番驚いているのだから。

しかしその一方で、
私がV6に夢中になることはずっと前から決まっていたのではないか、とも思う。

突然だが、あなたは人生で初めて好きになった芸能人を覚えているだろうか。

私は最近になるまですっかり忘れていた。

私が初めて好きになった芸能人こそ、V6の三宅健くんだった。
小学校に上がってテレビを見るようになってから、私にとって
毎週「伊東家の食卓」と「学校へ行こう!」を観られる火曜日は一番の楽しみだった。

そうだ、そうだった。
私はこれまで男性アイドルに関心がないわけではなかった。

V6の健くんが大好きだったのに、クラスメイトは剛くん派だったので隠していた。
KinKi Kidsの光一くんが気になっても、周りが剛くん推しばかりで知らん顔をした。
TOKIOの松岡くんにハマっていた時期も、友人は長瀬くんのファンばかりで離れた。
タッキー&翼のタッキーにも惹かれたのに、翼くん担の子たちの輪に入れなかった。

そうやって周囲の顔色を伺いながら学童期を過ごしてきた私は、
いつしか男性アイドルに興味はないと自分に暗示をかけてしまった。

そして20年以上の月日が流れ、ようやくその呪縛から解放されたのだ。

自分の素直な気持ちを認めらてあげられるようになったこと、
好きなものを好きだと自信を持って言えるようになったこと、
歳と共に変化することの楽しさを知ることができたのも、彼らのおかげだ。

最近になって、もう一つ思い出したことがある。
それは、知人がいわゆるジャニオタだと明かしてくれた時のこと。
時には勇気を持って「〇〇が好きなんだ」と話してくれた告白に、
思えば私はいつも同じ返答をしていた。

「そうなんだ!ジャニーズかっこいいよね!私もV6好きだもん!」と。 

そう、ずっと好きだったんだ。

火曜日が楽しみだった頃から、お互いの個性を尊重しつつ補い合う仲の良さも、
各々が活躍の場を広げながら、確かな実力を持つグループへ成長していく姿も、
ずっと特別に感じていた。

こんなにも無意識に好感は刻まれていたのに、
どうしてもっと早く彼らを掘り下げなかったのかと後悔する日もある。

せめてあと5年、いや、3年でもいい。 彼らと一緒に過ごせていたら。

Twitterで“V6の愛”というトレンドワードを見て特別番組の放送を知った時、
KEN☆Tackeyが結成されてとんでもないユニットが生まれたと高揚した時、
音楽番組で「刹那的Night」のパフォーマンスに触れて前衛性に感心した時、
あの時にどうして。

それでも、きっと私には今だったんだと思う理由がある。

個人的な話になるが、私は今年の3月に実父を亡くし、
交際していた相手と別れ、会社都合での退職が決まった。

多くのものがあっという間に手のひらからこぼれ落ちていった。

それを埋められる代わりはどこにもないけれど、
それに匹敵するほど大きな存在と巡り合うための
旅支度だったのだと思ってみてもいいだろうか。

すべてのことには意味があると、信じたい。

もしかしたら、他人の目には2020年の私は不幸に映るのかもしれない。
けれど、私自身は今までの人生の中で、今年が一番幸せだったと思える。

それは紛れもなく、推しの存在があったからだ。

彼らを好きになって一日一日が特別になった。
生きること、歳を重ねることに希望を感じた。 
手の届かない人を想う気持ちが、こんなにも自分を強くしてくれることを知った。

推しがいる、ということは、幸せなことだ。

だから今日も私は彼らの幸せを願っている。

2020年、あなたたちに出会えて本当によかった。
25周年を一緒にお祝いさせてくれたこと、これまでアイドルでいてくれたこと、
6人でいてくれたこと、心から感謝しています。 たくさんの幸せをありがとう。

同じ時代を生きられる一分一秒が大切な宝物だから、
2021年も、その先も、ずっとずっと、大好きです。